はじめに
質量には、2つの基本的な等価性がある。重力質量と慣性質量の等価性、および、質量とエネルギーの等価性である。これら2つの等価性は、一方は精度よく確かめられ、また他方は理論上の根本命題として、その真偽を疑う人はいない。だが、なぜこのような等価性が成立しているのか、原理的な説明はなく、理論の計算上、そして実験における実証において確認されているのみである。そこで、これまでの投稿の内容を整理しつつ、これらの等価性の原因を考えてみたい。
1.重力質量と慣性質量
重力質量とは、物に重力がかかる度合いであり、慣性質量とは、物の空間中の動かしにくさである。一見すると、これら2つの質量に、概念的な共通性は見出しにくい。だが、空間中の物とは、空間という実体中に現れている、無という粒子である、というこれまでの基本的な考え方から、説明を立てることができる。すなわち、次のような考え方である。
a 有と無は矛盾する。
b aの矛盾があるとき、無は有による反発を受ける。
c aの矛盾が現れるとき、有は無によって混乱する。
質量は、これら3つを原理として説明できる。すなわち、bにより、無(粒子)は一般に、有である空間からの反発を受け、空間中を運動している。その運動は、有からの反発がシンプルであるほど定常である。だが、cにより、粒子(無)によって有である空間実体に混乱が生じると、その混乱によって、無に対する有の反発も混乱する。すなわち、無の、有から受ける反発は複雑になり、無は有のなかで運動しづらくなる。従って、有を混乱させる無(粒子)は、その混乱ゆえに、空間中において動かしづらく、空間中の動かしづらさ、すなわち慣性質量を帯びる。
次に、重力質量について。cによって混乱している有の、混乱の中心に近いほど、実体である有の乱れる度合いは高く、離れるほど、混乱する度合いは低い。すると、bにより、混乱の中心に近づくほど、無に対する反発は複雑であり、離れるほど反発はシンプルになる。だが、有を混乱させる度合いが高い無(粒子)は、有の反発がシンプルであるところでは、実体(空間)からより強い反発を受け、逆に、有の反発が複雑であるところでは、実体からの反発は相対的に弱い。そのため、慣性質量が大きいもの――有を混乱させる度合いが高い――は、有の混乱が少ない場所へと移動させるときに、より強い反発を受け、それはすなわち、その物が、より重い、ということである。そのため、慣性質量が大きいほど、その物の重力質量も大きい。
言い換えると、無が有のなかに現れ、有を混乱させるほど、無の運動は散乱し、そのため、運動が散乱している無をある方向に動かそうとしても、(散乱する度合いが低いものと比べて)その無は移動させづらい。そして、有の混乱は、その混乱の原因である無から離れるほど弱まるため、場の混乱が少ない方向へと、運動の散乱している粒子(無)を移動させようとすると、場はその無に対して反発し、そしてその反発は、その粒子の運動が散乱しているほど大きい。
そのように、無の運動が散乱し、質量が大きくなると、無(粒子)は、有の混乱が相対的に少ない場からより強い反発を受ける。だが注意が要るのは、物が落下する速度は、どの質量のものも同じである、という点である。質量が大きいほど、その物を持ち上げるときには、より強い重さ(相対的に混乱の少ない有からのより強い反発)を感じる。しかし、そのように質量の大きく、すなわち無の運動が散乱するものは、無の運動が散乱しているために、空間中でより動きづらい――慣性質量が大きい――ため、落下するときにも、空間中の動きづらさによって、その速度が相殺され、より質量の少ないものと同じ速度で落下する。つまり、重力質量の大きさは、それに比例する慣性質量によって相殺され、従って重力加速度は質量によらず一定である。それは、2つの質量の原因――無の運動の散乱――が原理的に同一であるためである。
2.エネルギーとの等価性
質量の原因は、aを根本原因とするbおよびcによっているが、そのうちのcに着目することで、質量とエネルギーの等価性も理解が可能である。すなわち、質量の原因は、無による有の混乱によって、有による無に対する反発が散乱するため、と先に理解したが、エネルギーが高いほど、無は有を混乱させる、と考えれば、質量の大きさとエネルギーの大きさの比例関係を描ける。すなわち、質量は、無が有を混乱させるために生じるが、エネルギーは、その有の混乱の度合いに等しい。その点を、代表的なエネルギーについて以下にみてみたい。
位置エネルギーは、物体を持ち上げた距離に応じて高まるが、物を持ち上げることは、もともと有の混乱が相対的に少ない場へと、質量のあるもの――有を混乱させるもの――を移動させることであるため、その移動によって、その質量の置かれた場はより激しく混乱する。無による混乱は、相対的に混乱の大きい場所においては(もともと場が混乱しているために)見えなかったものの、持ち上げたことによって、その無による有の混乱が、より現れる、という意味である。そのため、位置エネルギーの増大とは、その無による有の混乱の増大に等しい。
電磁場のエネルギーも、先の投稿(電磁気力の構造)においてみたように、電磁気とは無によって空間である実体が(光子のかたちをとって)いかに振動するのかに応じて成り立つため、そのエネルギーは実体の振動の度合い(すなわち混乱の度合い)に等しい。すなわち、電磁波は、その波長が短いほどエネルギーが高いが、それは、波長が短いほど、有である実体の混乱する度合いが強いという意味である。その点、電磁波のエネルギーの大きさが、有の混乱を示すものであることは分かりやすい。
運動エネルギーも、粒子(無)を運動させることは、その無による有の振動を激しくすることであるため、そのエネルギーは有の混乱に等しい。すなわち、bによって、無(粒子)は一般に、有からの反発を受けて実体中を運動しているが、その運動が、cによる有の混乱を伴うほど、その粒子の帯びる運動エネルギーは高い。それはすなわち、自然な慣性のままでは、無の散乱が少ない(慣性質量が小さい)ほど物は運動し、無の散乱が大きい(慣性質量が大きい)ほど運動しないため、無の散乱が大きな物ほど、その物を慣性に反して運動させる場合の、有の混乱はより激しい。そのため、運動エネルギーの多寡とは、その物の運動が、いかに有を混乱させるのかを示している1。
そのように、エネルギーとは、空間実体である有の混乱の度合いを意味するが、場における有の混乱は、その混乱を原因として、場をなしている他の有に対して様々に影響する。例えば、運動エネルギーを高めた物は、他の物と衝突することで、自分の帯びていた有の混乱を、衝突した先の物の混乱へと転嫁させ、その物の形状を崩すなり、熱運動を与えるなりする。熱とは、いかに場の有が混乱しているのかを示し、それは場が混乱するほど、その場における無(粒子)の運動が不規則になって、熱運動が増すためである。そのため、エネルギーとは、有の混乱であり、この混乱の転嫁において、様々なエネルギーの移動なり交換が発生する。
従って、質量が、先にみたように有の混乱において成立するのであれば、エネルギーとは有の混乱を意味するため、質量とエネルギーは原因を同じくする、という帰結が得られる。すなわち両者は、無(粒子)による有(空間実体)の混乱において発生し、有の混乱がエネルギーの存在を意味するように、同一の混乱が、その混乱による質量の成立も意味する。
結び:エネルギーと時間の不確定性関係
以上は、質量についての2つの等価性に、ひとつの説明原理を与えている。その説明に基づいて、エネルギーと時間の不確定性関係についても、少し付け加えたい。エネルギーとは、すでにみたように、有の混乱にあたるが、以前の投稿(物理的対象の本質)においてみたように、時間の実在とは、有における振動のことである(その振動に、無的性質のものと有的性質のものがあることをすでにみた)。すると、有の混乱が不確定であるほど、有はよりまとまって振動しやすく、従ってその時間はより確定する。逆に、有の混乱が確定するほど、有はまとまって振動しにくいため、その時間は不確定である。そのため、有の混乱が現れ、すなわちエネルギーが確定するほど、時間は不確定になる。それは、aゆえに、実体(空間)である有が、cによる混乱を、なるべく不確定に保とうとするためであり、粒子存在のエネルギー(有の混乱)は、自然なままでは曖昧に存在し、それゆえに時間は確定的に流れる。しかし、エネルギー、すなわち有の混乱が何らかのかたちで現れて確定すると、その分時間の流れは定まらなくなる。この説明は抽象的であるものの、物理の何らかの理解の助けになればうれしい。
- 運動エネルギーは、無(粒子)が運動することに伴う有の混乱だが、力学的エネルギーが保存されている場合、運動エネルギーと位置エネルギーは反比例する。それはすなわち、次のような意味である。位置エネルギーを帯びる粒子(無)は、場の有に対して混乱を生んでいる。すると、混乱の度合いが高まることは、無の運動を散乱させ、その粒子を運動させる能力(すなわち運動エネルギー)を殺ぐ。また、運動エネルギーを帯びる粒子は、位置によらずに有を混乱させている。すると、その場の有は、重力場によって生まれる場の混乱とは無関係に有を混乱させるため、位置によって生じる混乱(位置エネルギーの源泉)の影響を受けにくくなる。飛行機が、加力を加えて運動するときにのみ揚力を得るのも、ロケットが十分に速い運動を得たときに地球の重力場からの脱出速度を得るのも、この点に依拠している。すなわち、運動エネルギーを与えられ、運動によって有を混乱させる無(粒子)は、位置による有の混乱(すなわち位置エネルギー)の影響を受けにくくなり、位置エネルギーから解放されることで、空間中をより自由に移動することが可能になる。ロケットの脱出速度は、位置エネルギーによる束縛から解放される臨界点を示し、また、飛行機も、運動エネルギー(運動による混乱)の増大によって位置エネルギー(一つの場所に位置することによる混乱の影響)が殺がれるために、静止していたときに比べ位置エネルギーの影響を受けなくなり、より自由に空間中を移動できるようになって、揚力を受けて飛行することが可能になる。 ↩︎
2025.4.26 更新

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